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平岡知浩先生の論文が掲載されました

今年4月より来られた、平岡知浩先生が前職の松山赤十字病院で経験した症例報告がBMJ Case Repに掲載されました。

 

Hiraoka T, Tsuge M , Kondo Y .

Cyclosporine for the treatment of multisystem inflammatory syndrome in children with coronary artery aneurysms.

BMJ Case Rep. 2022 Jun 9;15(6):e250375.

https://casereports.bmj.com/content/15/6/e250375

 

COVID-19罹患後の冠動脈瘤形成を合併した小児多系統炎症症候群(MIS-C)患者についての報告です。

MIS-Cは川崎病と類似の病態が想定されることから川崎病の治療をベースにした治療方針が提唱されており、

海外ではIVIG±ステロイド、不応例にはアナキンラが用いられますが、

日本においては小児でのアナキンラは適応外のため使用できず、そのほかの治療についてはエビデンスが十分ではありません。

また、川崎病でのデータになりますが、ステロイド投与が冠動脈拡張を増悪した報告があり、

本症例では使用しにくいと判断しました。

シクロスポリンは川崎病の不応例で選択される治療法のひとつであり、

本症例においては川崎病の診断基準も満たしたためIVIG不応後にシクロスポリンを開始し、症状は改善しました。

 

経時的なサイトカイン分析では、シクロスポリン導入後にIL-6TNF-αIFN-γの低下を認めました。

今回の報告は、MIS-Cの新たな治療オプションを提示し、

日本を含めたアナキンラが使用できない地域で特に有用な報告であると考えています。

 

 

2022年06月16日(木)| NEWS