研究内容
Research content

概要

基礎研究

臨床研究

医師は科学者ですから、リサーチマインドを決しておろそかにするべきではありません。救急医学は急患のすべてを扱う診療科ですから、研究分野も幅広く、臨床・基礎・社会医学にわたるまで多彩な研究を行うことが可能です。

救急科は現場主義、ドクヘリにのって災害現場にいくことばかりが強調されますが、臨床研究や動物実験で様々な研究を行うことも、救急医学全体の発展のためには不可欠です。臨床でおきていることに疑問を感じたら、実験モデルをつくり、それを検証すること、また研究で得られたデータを臨床に応用すること、Bench to Bedsideは使い古された言葉ですが、医師が行う研究は常に患者さんへの反映を考慮しながら行っていくことが大切です。岡山大学救命救急・災害医学講座では、臨床・基礎研究を奨励しています。

 

【情報公開文書一覧】

http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/ethics/koukai/kyukyu/index.html

 

【大学院生】

  • 2019年度 中村 俊介
  • 2021年度 久保 卓也
  • 2022年度 須賀 将文
  • 2022年度 村上 勇也
  • 2023年度 大塚 貴久
  • 2023年度 平岡 知浩
  • 2023年度 MENG YING
  • 2023年度 山本 隼究
  • 2024年度 瀬谷 海月
  • 2024年度 滝口 隆章
  • 2024年度 時岡 孝平
  • 2024年度 萩原 万瀧
  • 2024年度 三次 悠哉
  • 2024年度 LAN XUAN

・HRGの研究

高ヒスチジン糖タンパク(Histidine-Rich Glycoprotein, HRG)は肝臓で産生される糖タンパク質です。先行研究では、敗血症モデルマウスにおいてHRGが著明に低下し、HRG補充療法を行うことで敗血症死亡率が低下すると報告されています。我々は、外傷、熱傷患者でヒトでHRGを測定し、予後や重症度判定のバイオマーカーとしての意義を検討しています。

・治療ガスを使った肺挫傷の治療法の開発

治療的医学ガスには、一酸化窒素(NO)をはじめ、一酸化炭素(CO)、硫化水素(H2S) (H2)などが知られています。我々は独自で小動物の肺挫傷をつくる器機を企業とともに開発し、これを使ってガスによる肺挫傷の吸入治療について研究しています。

・臓器虚血再灌流障害の研究

脳死ドナーを出す救命救急センターは、移植臓器の保存法や虚血再灌流障害についてもかかわるため、臓器移植に関する研究も積極的に行っています。ラットやマウスの小動物を用いた臓器移植モデルを使い、治療的ガスや、新規治療薬の虚血再灌流に対する効果について研究しています。

・頭部外傷時の骨形成に関する研究

頭部外傷後に伴う四肢骨折においては旺盛な骨形成がみられることが知られています。この因子が同定できれば今後、骨癒合不全・偽関節症例の治療に役立つ可能性があり、骨形成にかかわるメカニズム、ターゲットの同定をすすめています。

・外科侵襲時の腸管麻痺に関する研究

腸管麻痺は敗血症などの重症病態に合併し、経口摂取の遅れや誤嚥の原因にもなるため、早期の介入が必要です。我々は小動物の腸管麻痺モデルを確立し、その病態や治療法について研究しています。

・高齢者フレイルについて

他施設前向き研究として、救急搬送されてくる高齢者における集中治療の意義を再評価し、高齢者脆弱性の指標であるフレイルを含む患者背景、治療内容を検討しています。これは来るべき超高齢化社会において、救急・集中治療の現場ばかりでなく、地域包括ケアシステムでも治療方針決定の一助となることが想定されます。

高齢者救急集中治療に対してフレイルが及ぼす影響についての多施設共同研究

高齢者救急集中治療に対してフレイルが及ぼす影響についての多施設共同前向き研究研究結果報告書

・外傷登録データを用いた臨床研究

岡山大学病院高度救命救急センターでは日本外傷データバンクへの外傷患者登録を行っており、登録データを用いた臨床研究が可能です。臨床での疑問点を膨大なデータから見出すことが出来ます。

・院外心肺停止に対する救命士の特定行為に関する研究

ピッツバーグ大学で得られたデータ、および地域の消防から得られた臨床データをもとに、心肺停止患者に対する気管挿管やマスク換気の影響、搬送先病院の規模や設備による予後の検討など、現実の活動に即したデータを集め解析しています。

・脳死下臓器提供のプロセスに関する包括的研究

臓器を提供するドナーの不足は、我が国のみならず国際的にも深刻な問題となっています。重症救急患者が搬送される救命救急センターなどでは一定数のドナーとなりえる患者さんが発生していると考えられますが、脳死下臓器提供数は施設間のばらつきが大きいことが示されており、脳死下臓器提供の機会が施設によって大きく異なる可能性が示唆されています。これまでこれらの要因や背景を包括的かつ大規模に検証した研究はなされていません。本研究は脳死下臓器提供が比較的多く行われている施設において、2010年7月17日から2023年12月31日の期間に脳死下臓器提供が行われた患者さんを対象として、背景や管理方法、更に施設の体制や特徴を含めた脳死下臓器提供に至るまでのプロセスについての詳細を多機関後ろ向き研究で明らかにすることを目的とします。

J-RESPECT_公開文書【岡山大学】ver1.1