当センターの特色
Features of our center

救急と地域医療

みなさんは地域医療にどういったイメージをお持ちですか?

地域医療の確固たる定義はありませんが、概念としては、地域の住民に寄り添い、全人格的な医療を提供することで、その活動は幅広く、疾病の治療だけでなく、予防、リハビリテーション、在宅療養などにも及んできます。地域医療は主に内科医がこれまで行ってきましたが、最近は救急科専門医をもった医師が地域医療にあたることが増えています。

地域では様々なことがおこります。簡単な怪我から、蛇にかまれた、熊に襲われた、仏壇の火が衣服に燃え移って大やけどをすることもあるでしょう。子供が頭をうったけれど、脳神経外科の専門病院に紹介すべきかどうか、判断も適切にしないと、何でもかんでも都市部の専門施設へ紹介していたのでは、地域を守ることはできません。また、都会で手術を終えた患者さんを地域へお返しするときにも、重症管理をしたことがないと、その管理にも困るでしょう。災害で地域が孤立した時の対応、非難所の管理、消防との連携なども地域医療の大切な仕事です。

地域を守るためには、自分の守備範囲を適切に理解し、高次医療機関への搬送が必要なら適切な処置をして安全に搬送する、そのかわり、守備範囲にきたものは、確実に地域で診てあげるマインドが必要です。

救急科専門医は、内因外因、年齢性別に関係なく、すべての急患を診ることが専門であり、なおかつ日常的に社会的弱者や様々な問題を相手にしていますから、これらのスキルは自然に身に付きます。救急・災害医学を学ぶ過程での経験は、地域医療にとって最も大切な、地域住民のニーズにこたえるために必要なものです。

岡山大学救命救急・災害医学講座は、地域を診れる救急医の育成を目標にし、そのための修練を行えるシステムを整えています。